Dum loquimur, fugerit invida aetas. Carpe diem, quam minimum credula postero.
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♥ LOOKING BACK 7 / 初恋
今でもそうですが、C翼は当時から色んなカップリングがありましたよね。
組合せの可能性は無限大。しかも、原作ではプライベートがほとんど描かれないから、妄想のし放題。このあたりも、C翼が同人界でブームになった要因なんでしょう。
原作であれだけキャラがいる上に、アニメのオリジナルキャラってのもいたよな〜。
東一中の小野田君は同人界では結構人気だった気がします。小野田君と早田君のカップルって結構見かけたなぁ。今も活動されてる方いるのかな。
以前書いたヘフナーも映画限定キャラでしたが、それなりに頑張ってました。ただ、あのヘアスタイルだとラブシーンはやりづらかっただろうなぁ、色々と。
映画ではイングランド重戦車軍団のスティーブ君なんかもいましたが、同人界隈ではお目にかかったことなかったなぁ。やっぱりあれか、見た目か。
さて、昨日、東邦系はハードだったと書きましたが、岬君絡み、というか、南葛系は全般的にソフトでしたな。健全路線も多かった。やっぱりキャラによってファン層の傾向ってのがあるんでしょうね。そりゃそうか。
サイトをやってた頃、大人向けの作品に対して 「源岬でこんなにハードなのは初めて読みました」 とのご感想を頂いたことがありましたが、私のぬる〜い大人向けでも 「ハード」 と言って頂けるくらい、源岬というのは朝チュンの似合うカップルなのでした。いいんだか、悪いんだか。
やってることはきっちりやってるはずなんだけどなぁ、この2人!
ところが岬君って、ソフト路線が多い一方で、名もなきフランス人やドイツ人から酷い目に遭わされることが多かったんだよな〜。
血気盛んなヨーロピアンたちに 「女かと思ったら男かよ!でも、その辺の女よりよっぽどイケてるじゃん!よーし、お兄さんたち張り切っちゃうぞ!」 みたいな感じで、ご無体な目にあわされて心に傷をおっちゃったりするっていう。そう、何故か常に複数が相手だったな。
最終的に源三さんなり他の人なりとくっつくものの、岬君の幸せ至上主義な私は、この展開はちょっぴり苦手にしておりました。
まぁでも、苦手と言いつつ読んでましたけどね〜。
このネタがベースの源岬長編漫画シリーズもあったなぁ。岬君が不幸のズンドコなの。あのお話、最後どうなったんだろう。今更ながらではありますが、源三さんと幸せになったことを祈ります。
さて、例によって全然関係ない前フリをしたところで、今日の本題。本日は小次岬です。
小次郎人気の影響か、当時、岬君絡みのカップリングの中では源岬に続いて2番目に多かったような。いや、やっぱりGCの方が多かったのかな。
いずれにしても、私個人に限って言えば、源岬の次に読んだカップリングです。私は源岬一筋だったので、わざわざ手を出すことはしなかったけれど、「岬君本」 なんかでは結構お目にかかりました。
が、このカップリングは源岬以上に濡れ場のない2人だったような気が。私が出会わなかっただけかな。「小次岬本」 だったらちゃんとやることやってたのかも。
実は、今でこそ小次郎は大好きなキャラですが、最初の頃はあまり好きではなかったんですよ。だって、怖いしさぁ。目つき悪いしさぁ。
それが、岬君と小次郎っていい関係だなぁと思い始めたのは、多分、同人のおかげだろうと思います。
以下、小次岬についての語りのリサイクル。
*****
この二人ってどこか似た者同士の部分と相反する部分がある感じで、とてもいい雰囲気だなぁと思います。小次郎の前だったら、岬君もちょっぴり涙を見せることもあるかもしれない。
私としては、岬君の初恋は普通に女の子だっただろうと思っているのですが、どうしても男性キャラの中から選べと言われれば (誰がそんなことを言うんだよ)、仄かな初恋は小次郎だったのではないかと考えていたりします。
互いに何となく意識しながらも双方そういう事には鈍いせいで、それが恋だと気が付かない内に岬君が次の町へとお引越し、っていう感じかな〜。
でもって岬君の方は数年後、本当に恋をした時に(相手が源三さんだと嬉しいですね)、あぁ、あの時のあれって初恋だったんだなぁ、とか思い出し笑いの一つでもしてみて欲しいです。
・・・などと書きつつも、私的にはこの二人、やっぱりカップリングではないんだよね〜。あれだけ読んだのにハマれなかったのは我ながら不思議なものです。
小次郎はもちろん子供の頃から苦労してたからしっかりしてるし、大人な部分もあるんだけど、私の中では割と子供っぽい部分の方が強い感じ、というかそういう小次郎が好きなので、そのせいもあるのかなぁと思ってみたり。そっと支えてくれる人が必要っていうかさ。
こういう言い方はアレかもしれませんが、小次郎ってどっちかっていうと年上の女性との方が上手く行きそうなタイプのような気が。
年上と上手く行くんだったら、大人な岬君とぴったりなんじゃないかと言うとそうでもなく、私としては大人にならなくっちゃならなかった岬君だから、子供な部分を出させてあげたいと思っているわけで・・・ いやはや、なかなか難しいです。
で、たとえカップリングを考えてみたとしても、どうも究極的なハッピーエンドは思い浮かばないんですよ。
源岬と健小次 (小次健) が強力に染み込んでいるせいもあるんでしょうが、幸せな二人のシーンを思い描いたとしても、やっぱりどこか不安定な感じがします。
もちろんその時の二人はそれで幸せなんだろうけど、最終的に選ぶのはお互いじゃないんだろうなぁという気がしてしまう。いつまでも続くことはないんだろうな、と。
長く一緒にいるうちに、じわじわと息苦しくなっていくような、気が付くと溜息が多くなっていくような、それに気が付かない振りしている内に、どんどんぎくしゃくしていくような、そんな感じ。
そういう刹那的な感じもそそられると思いつつ、やっぱ私、岬君には幸せになってもらいたいと思ってるのでね〜。
まぁ、その辺りに岬君の方が先に気が付いてしまうわけですよ。で、このままじゃ二人とも駄目になってしまうと考えて別れを切り出すんだけど、何で岬君がそんなこと言うのかなんて小次郎にはわからない。「好きなのに何で別れなくちゃいけないんだ?」 って感じで。
何年後かに別の相手を見つけたときに、あぁ、あの時のあれはそういうことだったのか、ってやっと気が付きそうな気がします。で、別れてからの方がよりよい関係を築けるような。
例えば、別れて数年後、ひょっこり出会ったりするわけですよ。私としてはその時に互いに新しい相手がいるか、小次郎にだけ新しい相手がいるか、そのどちらかを希望。
「そういえば、昔もよくそんなこと言ってたよね」
岬がちらりと隣の日向にからかうような視線を遣って笑う。
「変わらないね、君は」
「……悪かったな。どうせ俺は成長してねぇよ」
くすくすと声を立てて笑う岬に、少しは否定しろ、と日向は膨れてその頭を小突いた。必要以上に眉を顰めて見せたのは、そうでもしないと彼の笑顔に見とれてしまいそうだったからだ。こんな風に笑う岬を見るのは随分久し振りで、そしてこの笑顔に今もどうしようもなく惹きつけられる自分がいることを改めて思い知らされる。
変わらない。言われてみれば確かにそうだ。自分は昔から岬の笑顔に弱かった。内心でそう苦笑しながら、しかし日向は、以前感じていた突き上げるような愛しさに、今は穏やかな懐かしさにも似た感情が取って代わっていることにもはっきりと気が付いていた。
「あの頃さ……」
「うん?」
「あの頃、何が足りなかったんだろうな、俺達」
「……さぁ。なんだろうねぇ……」
僅かに目を伏せ、くすりと笑って小さく呟くと、岬はシャツの襟元を少し直した。
「俺さ、お前と別れた時、すげぇショックだったんだよ。なんつーか、お前がもういないんだってことも勿論ショックだったんだけどな……」
そこで日向は少し言い淀み、気を悪くするなよ?と前置きしてから言葉を継いだ。
「正直、少しだけ楽になった気がしたんだ。それが、凄くショックだった」
岬は何も答えなかった。ただ、うん、と小さく頷いただけだった。陰になっているせいでその表情は定かには伺えない。
だが、遠くに落ちてゆく夕陽を眩しげに見遣るその横顔を眺めながら、当時自分が感じていた次第に息苦しくなっていくようなあの感覚を、恐らくは彼も同じように覚えていたのかもしれないと、日向は思った。
そのまま暫く二人無言のままで歩みを進める。やがて三叉路に差し掛かった時、何の前触れもなく不意に岬が立ち止まった。
「……ここでいいよ。送ってくれてありがとう」
そう告げて彼は日向の方を見上げ、やんわりと微笑んだ。
だが、見回してみても、辺りにはこれといって目ぼしい建物は何もない。それはどこに続くとも知れない随分と中途半端な場所で、いずれにしても岬の目指す目的地まではまだかなり距離があるのだろうとは、日向にも容易に察しがついた。
何故、ここで?
まだ、もう少し一緒に……
そう口にしかけ、だが結局、日向は何も言わなかった。
ちょうど、あの日と同じように。
「分かった。……じゃあ、またな」
「うん、また。元気でね…… っていちいち言わなくても、君はいつでも元気だろうけど」
軽口を叩く岬に、そっちもな、と一言だけ投げて踵を返し、日向が後ろ手に手を振る。
そのままもと来た道を数歩進んだ時、不意に岬の声が引き止めた。
「小次郎」
昔と同じようにそう呼ばれて、咄嗟に振り向く。そして同時に、名前を呼ばれたのは今日出会ってから初めてだということにふと気が付いた。
「……どうした?」
瞳を撃つ逆光に僅かに目を眇め、進めた歩みを元に戻す。
ちょっと、と呼ばれ、手招きに吸い寄せられるように顔を近づければ、その瞬間、ふわりと岬の唇が唇の上を掠めていった。
「……大好きだったよ」
「岬……」
「それからさ、成長してると思うよ?前よりずっといい男になった。……ちょっと、悔しい気もするけどね」
幸せにね。最後にそう言って鮮やかに笑うと岬はくるりと背を向け、右へと伸びる道を取った。暮れなずむ黄金色の光の中、徐々にその輪郭が淡く溶けてゆく。
日向は指先で唇に触れると小さく一つ笑った。そして岬の後ろ姿が完全に視界から消える前に背を向け、彼とは別の道をゆっくりと歩みだした。
・・・なーんつって、ワタクシの最初で最後の小次岬小劇場でした。唐突&手抜き&ベタですんません。
私的に小次岬は上手く行かない恋愛が一番しっくりするのですよ。二人で一生懸命頑張ったけど、駄目だった、どうしても上手く行かなかった、どこで間違っちゃったんだろうっていうような。凄く好き合ってるんだけど、別れた瞬間ちょっとほっとするような。
小次岬に関しては、こういう世界しか浮かびません。 一体どうしてなのか分からないけど、こういうラストがいつの間にかきっちり自分の中でいつの間にか出来上がってました。
なんでなんだ。何がトラウマになっているんだ、私!
まぁ、なんだかんだ言って結構長々書いているのは、この二人が好きだからでもあるんですが。
実際岬君と小次郎って、恋愛感情ない場合だと凄くいい方向に行くような気がするのです。
タイプが違う部分でちょっぴり反発しながらもお互いに一目置き、似た部分でどことなく共感しあってる感じが凄く好き。
昔から小次郎には情け容赦ない岬君。互いにぽんぽん好き勝手言い合って、でも結局口では適わず小次郎がへこんだりするような関係もなかなか。言い合う二人に周りの人たちが、 「なんか岬がいつもと違う・・・」 とか、ちょっとびびってくれたりするといいですね。
そして、そんな岬君を見た源三さんには是非、「お前、日向には言いたいこと言うよな。そういえば昔からあいつのことだけは名前で呼び捨てだし・・・」 とか、お約束の焼もちを たっぷり焼いてもらいたいものですよね!(長々語っておいて、結局行き着くところはそこか・・・)
*****
ワタクシ的に、原作で南葛を偵察にきた小次郎が岬君を見つけて、「岬!岬じゃないか!」 と凄く嬉しそうに (珍しく満面の笑顔で) 近寄って行ったのに対し、岬君が 「小次郎・・・」 と心底嫌そうな顔をして答えていたのがとってもツボです。二人の力関係をよくあらわしているよね!
そのあと、岬君が 「今は翼君の力を見せない方がいい」とか言うんですよね。かわいい顔に似合わぬその策士っぷりも大好き。
まぁ、そんなこんなで小次岬を掘り起こしてみましたが、小次郎もとうとう彼女ができそうだしなぁ。
私は 「年上の女性が似合いそう」 と書きましたが、実際のお相手は年下のソフトボール少女。
あの二人はなかなかいいカップルなので、個人的には応援したいと思うのですが、まぁ、涼しい顔でそんなことを言ってられるのも、直接自分の所には累が及ばないからなんだよね。
小次郎絡みのカップリングの方々の心境やいかに・・・
組合せの可能性は無限大。しかも、原作ではプライベートがほとんど描かれないから、妄想のし放題。このあたりも、C翼が同人界でブームになった要因なんでしょう。
原作であれだけキャラがいる上に、アニメのオリジナルキャラってのもいたよな〜。
東一中の小野田君は同人界では結構人気だった気がします。小野田君と早田君のカップルって結構見かけたなぁ。今も活動されてる方いるのかな。
以前書いたヘフナーも映画限定キャラでしたが、それなりに頑張ってました。ただ、あのヘアスタイルだとラブシーンはやりづらかっただろうなぁ、色々と。
映画ではイングランド重戦車軍団のスティーブ君なんかもいましたが、同人界隈ではお目にかかったことなかったなぁ。やっぱりあれか、見た目か。
さて、昨日、東邦系はハードだったと書きましたが、岬君絡み、というか、南葛系は全般的にソフトでしたな。健全路線も多かった。やっぱりキャラによってファン層の傾向ってのがあるんでしょうね。そりゃそうか。
サイトをやってた頃、大人向けの作品に対して 「源岬でこんなにハードなのは初めて読みました」 とのご感想を頂いたことがありましたが、私のぬる〜い大人向けでも 「ハード」 と言って頂けるくらい、源岬というのは朝チュンの似合うカップルなのでした。いいんだか、悪いんだか。
やってることはきっちりやってるはずなんだけどなぁ、この2人!
ところが岬君って、ソフト路線が多い一方で、名もなきフランス人やドイツ人から酷い目に遭わされることが多かったんだよな〜。
血気盛んなヨーロピアンたちに 「女かと思ったら男かよ!でも、その辺の女よりよっぽどイケてるじゃん!よーし、お兄さんたち張り切っちゃうぞ!」 みたいな感じで、ご無体な目にあわされて心に傷をおっちゃったりするっていう。そう、何故か常に複数が相手だったな。
最終的に源三さんなり他の人なりとくっつくものの、岬君の幸せ至上主義な私は、この展開はちょっぴり苦手にしておりました。
まぁでも、苦手と言いつつ読んでましたけどね〜。
このネタがベースの源岬長編漫画シリーズもあったなぁ。岬君が不幸のズンドコなの。あのお話、最後どうなったんだろう。今更ながらではありますが、源三さんと幸せになったことを祈ります。
さて、例によって全然関係ない前フリをしたところで、今日の本題。本日は小次岬です。
小次郎人気の影響か、当時、岬君絡みのカップリングの中では源岬に続いて2番目に多かったような。いや、やっぱりGCの方が多かったのかな。
いずれにしても、私個人に限って言えば、源岬の次に読んだカップリングです。私は源岬一筋だったので、わざわざ手を出すことはしなかったけれど、「岬君本」 なんかでは結構お目にかかりました。
が、このカップリングは源岬以上に濡れ場のない2人だったような気が。私が出会わなかっただけかな。「小次岬本」 だったらちゃんとやることやってたのかも。
実は、今でこそ小次郎は大好きなキャラですが、最初の頃はあまり好きではなかったんですよ。だって、怖いしさぁ。目つき悪いしさぁ。
それが、岬君と小次郎っていい関係だなぁと思い始めたのは、多分、同人のおかげだろうと思います。
以下、小次岬についての語りのリサイクル。
*****
この二人ってどこか似た者同士の部分と相反する部分がある感じで、とてもいい雰囲気だなぁと思います。小次郎の前だったら、岬君もちょっぴり涙を見せることもあるかもしれない。
私としては、岬君の初恋は普通に女の子だっただろうと思っているのですが、どうしても男性キャラの中から選べと言われれば (誰がそんなことを言うんだよ)、仄かな初恋は小次郎だったのではないかと考えていたりします。
互いに何となく意識しながらも双方そういう事には鈍いせいで、それが恋だと気が付かない内に岬君が次の町へとお引越し、っていう感じかな〜。
でもって岬君の方は数年後、本当に恋をした時に(相手が源三さんだと嬉しいですね)、あぁ、あの時のあれって初恋だったんだなぁ、とか思い出し笑いの一つでもしてみて欲しいです。
・・・などと書きつつも、私的にはこの二人、やっぱりカップリングではないんだよね〜。あれだけ読んだのにハマれなかったのは我ながら不思議なものです。
小次郎はもちろん子供の頃から苦労してたからしっかりしてるし、大人な部分もあるんだけど、私の中では割と子供っぽい部分の方が強い感じ、というかそういう小次郎が好きなので、そのせいもあるのかなぁと思ってみたり。そっと支えてくれる人が必要っていうかさ。
こういう言い方はアレかもしれませんが、小次郎ってどっちかっていうと年上の女性との方が上手く行きそうなタイプのような気が。
年上と上手く行くんだったら、大人な岬君とぴったりなんじゃないかと言うとそうでもなく、私としては大人にならなくっちゃならなかった岬君だから、子供な部分を出させてあげたいと思っているわけで・・・ いやはや、なかなか難しいです。
で、たとえカップリングを考えてみたとしても、どうも究極的なハッピーエンドは思い浮かばないんですよ。
源岬と健小次 (小次健) が強力に染み込んでいるせいもあるんでしょうが、幸せな二人のシーンを思い描いたとしても、やっぱりどこか不安定な感じがします。
もちろんその時の二人はそれで幸せなんだろうけど、最終的に選ぶのはお互いじゃないんだろうなぁという気がしてしまう。いつまでも続くことはないんだろうな、と。
長く一緒にいるうちに、じわじわと息苦しくなっていくような、気が付くと溜息が多くなっていくような、それに気が付かない振りしている内に、どんどんぎくしゃくしていくような、そんな感じ。
そういう刹那的な感じもそそられると思いつつ、やっぱ私、岬君には幸せになってもらいたいと思ってるのでね〜。
まぁ、その辺りに岬君の方が先に気が付いてしまうわけですよ。で、このままじゃ二人とも駄目になってしまうと考えて別れを切り出すんだけど、何で岬君がそんなこと言うのかなんて小次郎にはわからない。「好きなのに何で別れなくちゃいけないんだ?」 って感じで。
何年後かに別の相手を見つけたときに、あぁ、あの時のあれはそういうことだったのか、ってやっと気が付きそうな気がします。で、別れてからの方がよりよい関係を築けるような。
例えば、別れて数年後、ひょっこり出会ったりするわけですよ。私としてはその時に互いに新しい相手がいるか、小次郎にだけ新しい相手がいるか、そのどちらかを希望。
「そういえば、昔もよくそんなこと言ってたよね」
岬がちらりと隣の日向にからかうような視線を遣って笑う。
「変わらないね、君は」
「……悪かったな。どうせ俺は成長してねぇよ」
くすくすと声を立てて笑う岬に、少しは否定しろ、と日向は膨れてその頭を小突いた。必要以上に眉を顰めて見せたのは、そうでもしないと彼の笑顔に見とれてしまいそうだったからだ。こんな風に笑う岬を見るのは随分久し振りで、そしてこの笑顔に今もどうしようもなく惹きつけられる自分がいることを改めて思い知らされる。
変わらない。言われてみれば確かにそうだ。自分は昔から岬の笑顔に弱かった。内心でそう苦笑しながら、しかし日向は、以前感じていた突き上げるような愛しさに、今は穏やかな懐かしさにも似た感情が取って代わっていることにもはっきりと気が付いていた。
「あの頃さ……」
「うん?」
「あの頃、何が足りなかったんだろうな、俺達」
「……さぁ。なんだろうねぇ……」
僅かに目を伏せ、くすりと笑って小さく呟くと、岬はシャツの襟元を少し直した。
「俺さ、お前と別れた時、すげぇショックだったんだよ。なんつーか、お前がもういないんだってことも勿論ショックだったんだけどな……」
そこで日向は少し言い淀み、気を悪くするなよ?と前置きしてから言葉を継いだ。
「正直、少しだけ楽になった気がしたんだ。それが、凄くショックだった」
岬は何も答えなかった。ただ、うん、と小さく頷いただけだった。陰になっているせいでその表情は定かには伺えない。
だが、遠くに落ちてゆく夕陽を眩しげに見遣るその横顔を眺めながら、当時自分が感じていた次第に息苦しくなっていくようなあの感覚を、恐らくは彼も同じように覚えていたのかもしれないと、日向は思った。
そのまま暫く二人無言のままで歩みを進める。やがて三叉路に差し掛かった時、何の前触れもなく不意に岬が立ち止まった。
「……ここでいいよ。送ってくれてありがとう」
そう告げて彼は日向の方を見上げ、やんわりと微笑んだ。
だが、見回してみても、辺りにはこれといって目ぼしい建物は何もない。それはどこに続くとも知れない随分と中途半端な場所で、いずれにしても岬の目指す目的地まではまだかなり距離があるのだろうとは、日向にも容易に察しがついた。
何故、ここで?
まだ、もう少し一緒に……
そう口にしかけ、だが結局、日向は何も言わなかった。
ちょうど、あの日と同じように。
「分かった。……じゃあ、またな」
「うん、また。元気でね…… っていちいち言わなくても、君はいつでも元気だろうけど」
軽口を叩く岬に、そっちもな、と一言だけ投げて踵を返し、日向が後ろ手に手を振る。
そのままもと来た道を数歩進んだ時、不意に岬の声が引き止めた。
「小次郎」
昔と同じようにそう呼ばれて、咄嗟に振り向く。そして同時に、名前を呼ばれたのは今日出会ってから初めてだということにふと気が付いた。
「……どうした?」
瞳を撃つ逆光に僅かに目を眇め、進めた歩みを元に戻す。
ちょっと、と呼ばれ、手招きに吸い寄せられるように顔を近づければ、その瞬間、ふわりと岬の唇が唇の上を掠めていった。
「……大好きだったよ」
「岬……」
「それからさ、成長してると思うよ?前よりずっといい男になった。……ちょっと、悔しい気もするけどね」
幸せにね。最後にそう言って鮮やかに笑うと岬はくるりと背を向け、右へと伸びる道を取った。暮れなずむ黄金色の光の中、徐々にその輪郭が淡く溶けてゆく。
日向は指先で唇に触れると小さく一つ笑った。そして岬の後ろ姿が完全に視界から消える前に背を向け、彼とは別の道をゆっくりと歩みだした。
・・・なーんつって、ワタクシの最初で最後の小次岬小劇場でした。唐突&手抜き&ベタですんません。
私的に小次岬は上手く行かない恋愛が一番しっくりするのですよ。二人で一生懸命頑張ったけど、駄目だった、どうしても上手く行かなかった、どこで間違っちゃったんだろうっていうような。凄く好き合ってるんだけど、別れた瞬間ちょっとほっとするような。
小次岬に関しては、こういう世界しか浮かびません。 一体どうしてなのか分からないけど、こういうラストがいつの間にかきっちり自分の中でいつの間にか出来上がってました。
なんでなんだ。何がトラウマになっているんだ、私!
まぁ、なんだかんだ言って結構長々書いているのは、この二人が好きだからでもあるんですが。
実際岬君と小次郎って、恋愛感情ない場合だと凄くいい方向に行くような気がするのです。
タイプが違う部分でちょっぴり反発しながらもお互いに一目置き、似た部分でどことなく共感しあってる感じが凄く好き。
昔から小次郎には情け容赦ない岬君。互いにぽんぽん好き勝手言い合って、でも結局口では適わず小次郎がへこんだりするような関係もなかなか。言い合う二人に周りの人たちが、 「なんか岬がいつもと違う・・・」 とか、ちょっとびびってくれたりするといいですね。
そして、そんな岬君を見た源三さんには是非、「お前、日向には言いたいこと言うよな。そういえば昔からあいつのことだけは名前で呼び捨てだし・・・」 とか、お約束の焼もちを たっぷり焼いてもらいたいものですよね!(長々語っておいて、結局行き着くところはそこか・・・)
*****
ワタクシ的に、原作で南葛を偵察にきた小次郎が岬君を見つけて、「岬!岬じゃないか!」 と凄く嬉しそうに (珍しく満面の笑顔で) 近寄って行ったのに対し、岬君が 「小次郎・・・」 と心底嫌そうな顔をして答えていたのがとってもツボです。二人の力関係をよくあらわしているよね!
そのあと、岬君が 「今は翼君の力を見せない方がいい」とか言うんですよね。かわいい顔に似合わぬその策士っぷりも大好き。
まぁ、そんなこんなで小次岬を掘り起こしてみましたが、小次郎もとうとう彼女ができそうだしなぁ。
私は 「年上の女性が似合いそう」 と書きましたが、実際のお相手は年下のソフトボール少女。
あの二人はなかなかいいカップルなので、個人的には応援したいと思うのですが、まぁ、涼しい顔でそんなことを言ってられるのも、直接自分の所には累が及ばないからなんだよね。
小次郎絡みのカップリングの方々の心境やいかに・・・
PR
ピーさまにやられてしまった岬くんが源ちゃんのところに行くんだけど、そこを訪ねてきた井沢くんに会ってしまう。そこで、井沢くんの気持ちに気がついた岬くん「誰かを不幸にしてまで幸せになりたくない」と言って、源ちゃんに「ねぇ・・・ただの友達に戻ろう・・・」と言ったところから不幸の始まり。
源ちゃんを忘れられない岬くんは、自殺未遂はするは、フランスの複数のお兄ちゃま方に身を預けてしまうは、それを助けようとしたピーさまを刺してしまって、神経症になっちまうは・・・。最後はどうなったのか私も読んでいないのですが。
かすみまゆさん、安曇雄也さんとも仲良しで、源岬界では名の知れた方だったと思います。
違っていたら、すみません。そういう話しもあったのか・・・と思っておいてください。
懐かしさのあまり、ながーくなってしまいました。
引き続き、楽しみにしています。
実は、どういう経緯で「友達に戻ろう」と言いだしたのかがずっと思い出せなくていたのですが、
なるほど、そういう流れでしたか!長年の謎が解けてすっきりしました!ありがとうございます!
というか、私、そもそもがピー様が原因ということも忘れてました。
複数のお兄ちゃん達が原因なのかと思ってましたよ。
このあやふやっぷり、もしかしたら最初の本を読んでいないのかしら。
しかし、あのお話の岬君、きよしも真っ青なくらいズンドコでしたよね〜。
もしかして趣味なの?っていうくらい不幸に向けてまっしぐらでしたよね。
あのお話がとっても重かったので、同作者さんの明るめのお話を読むと、
2人が倍増しで幸せそうに感じられたなぁ・・・
あのお話の2人、結局どういう風な結末になったのかなぁと今も時々思い出します。
不幸だった分を取り戻す勢いで幸せになってくれたことを祈っておりますです。