Dum loquimur, fugerit invida aetas. Carpe diem, quam minimum credula postero.
[PR]
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
◎ 10 +
先月デル・ピエーロが本を出しました。まぁあれだ、あの小次郎が 「自伝・猛虎」 を出すご時世ですから、デルピだって本の1冊や2冊出そうというものです。
タイトルは 「10+」。で、こちらが表紙。

ずっと気になっていたのですが、ようやく時間が出来たので、本屋に向ってダッシュ、ダーッシュ、ダッシュ!キック&ダッシュ!っつー感じで早速読んでみましたよ!
「猛虎」と違っていわゆる自伝ではなく、2006年という特異な年に体験したこと、その時の心境などを写真に撮る感じで綴ったものだそうで、 ドイツ戦のゴール、ワールドカップ優勝、 ユーヴェ降格とセリエB、カペッロとの確執なんかがメインの内容。他にも98年の大怪我、PK秘話(?)、FKのコツなどについて触れられています。
で、それとは別に 「思い出の10試合」 「一緒に戦ってみたかった選手10人」 から 「好きな食べ物10種」 まで、様々なお題について10項目がリストアップされ、ちょっとしたコメントが付けられたりなんかもしていたり。これはあくまでも10個ランダムに上げてるだけで順位付けはあえてしないのがミソだそうな。
個人的には、「世界のサッカーチーム」 の中にFC東京が入ってたことと 「好きなアニメ」 の中にキャプテン翼が入ってたのが特記事項でございました。デルピは確か翼が好きなんだよなー。
基本的にプライベートをあまり見せないデルピですが、本書ではいたるところで奥さんのことをのろけておりましたよ。例えば 「好きな匂い10種」 の中の1項目が、
「ソニアの匂い。初めて出会った時に彼女が付けてた香水の匂いには幸せな瞬間が凝縮されてる」
だったりして、こいつぅ、公の出版物で正々堂々とのろけまくりやがって!そんな少々こっ恥ずかしいくらいの甘い台詞を吐くなんざ、お前は一体どこの若林源三だ!どこのエル・シド・ピエールだ!と非常に微笑ましかった。
なんかこう、19才のあの華奢な青年が今や立派に所帯を持つようになったんだねぇ・・・大きくなったねぇ・・・などとしみじみ感慨に耽りながらハンカチの端でそっと涙のひとつも拭いたいような気分です。
えー、デル・ピエーロは私にとって色々と複雑な思い入れのある現役最愛の選手なわけですが、誠に一方的ながら、なんというかこう、ある意味身内みたいな感覚なんだよね。
サッカーに限らず贔屓チームがおありの方には分かって頂けるのではないかと思うのですが、私にとってユーヴェはいわば家族のようなものでして、選手はみんな家族の一員みたいな感じなのです。ぶっちゃけ、遠いリアル親戚の冠婚葬祭よりはユーヴェ選手のそれの方がよっぽど身近に感じるしなー。
で、その中でもデルピは特に自慢の兄弟というか、まぁ、言ってみればそんな感じなのですよ。なので奥さんと犬と猫(6匹!)と仲良く暮らしてると思うととっても嬉しい。幸せそうでなによりだぜ、カピターノ!
で、代表やクラブでの出来事とその時の心境、周辺エピソード等々も面白かったのですが、FKやPKなど、純粋にプレイについてのコツや感覚を語っている部分がとても興味深かったです。やっぱこういうのは選手自身にしか分からないもんなぁ。
以下は冒頭の1章。読みながら94年のフィオ戦のあのゴールや3年前のミラン戦のオーバーヘッドアシストなんかを思い出したりしましたよ。
タイトルは 「10+」。で、こちらが表紙。

ずっと気になっていたのですが、ようやく時間が出来たので、本屋に向ってダッシュ、ダーッシュ、ダッシュ!キック&ダッシュ!っつー感じで早速読んでみましたよ!
「猛虎」と違っていわゆる自伝ではなく、2006年という特異な年に体験したこと、その時の心境などを写真に撮る感じで綴ったものだそうで、 ドイツ戦のゴール、ワールドカップ優勝、 ユーヴェ降格とセリエB、カペッロとの確執なんかがメインの内容。他にも98年の大怪我、PK秘話(?)、FKのコツなどについて触れられています。
で、それとは別に 「思い出の10試合」 「一緒に戦ってみたかった選手10人」 から 「好きな食べ物10種」 まで、様々なお題について10項目がリストアップされ、ちょっとしたコメントが付けられたりなんかもしていたり。これはあくまでも10個ランダムに上げてるだけで順位付けはあえてしないのがミソだそうな。
個人的には、「世界のサッカーチーム」 の中にFC東京が入ってたことと 「好きなアニメ」 の中にキャプテン翼が入ってたのが特記事項でございました。デルピは確か翼が好きなんだよなー。
基本的にプライベートをあまり見せないデルピですが、本書ではいたるところで奥さんのことをのろけておりましたよ。例えば 「好きな匂い10種」 の中の1項目が、
「ソニアの匂い。初めて出会った時に彼女が付けてた香水の匂いには幸せな瞬間が凝縮されてる」
だったりして、こいつぅ、公の出版物で正々堂々とのろけまくりやがって!そんな少々こっ恥ずかしいくらいの甘い台詞を吐くなんざ、お前は一体どこの若林源三だ!どこのエル・シド・ピエールだ!と非常に微笑ましかった。
なんかこう、19才のあの華奢な青年が今や立派に所帯を持つようになったんだねぇ・・・大きくなったねぇ・・・などとしみじみ感慨に耽りながらハンカチの端でそっと涙のひとつも拭いたいような気分です。
えー、デル・ピエーロは私にとって色々と複雑な思い入れのある現役最愛の選手なわけですが、誠に一方的ながら、なんというかこう、ある意味身内みたいな感覚なんだよね。
サッカーに限らず贔屓チームがおありの方には分かって頂けるのではないかと思うのですが、私にとってユーヴェはいわば家族のようなものでして、選手はみんな家族の一員みたいな感じなのです。ぶっちゃけ、遠いリアル親戚の冠婚葬祭よりはユーヴェ選手のそれの方がよっぽど身近に感じるしなー。
で、その中でもデルピは特に自慢の兄弟というか、まぁ、言ってみればそんな感じなのですよ。なので奥さんと犬と猫(6匹!)と仲良く暮らしてると思うととっても嬉しい。幸せそうでなによりだぜ、カピターノ!
で、代表やクラブでの出来事とその時の心境、周辺エピソード等々も面白かったのですが、FKやPKなど、純粋にプレイについてのコツや感覚を語っている部分がとても興味深かったです。やっぱこういうのは選手自身にしか分からないもんなぁ。
以下は冒頭の1章。読みながら94年のフィオ戦のあのゴールや3年前のミラン戦のオーバーヘッドアシストなんかを思い出したりしましたよ。
「その瞬間」
深い孤独の瞬間がある。時にはほんの1秒、ある時には僅か数分の1秒ほどの瞬間だ。君は何かをやろうとしていて、けれども敵は君が何をやろうとしているのか知らない。味方も知らない。なにより君自身さえまだ知らない、そんな瞬間。
この時サッカーはもはやチームスポーツではなくなる。そこにいるのはただ一人君と、そして君のもとに近付いてくるボールだけだ。
その瞬間には君の精神状態、肉体的コンディション、そしてモチベーションが大きく影響してくる。それまで練習でやってきたこと、監督やチームメイトからの信頼を感じているか否か、プライベートは上手くいっているかなど、あらゆることが重要だ。
君は独りぼっちだ。もし心のどこかで調子が良くないと感じているとしたら、きっとその瞬間君は最も理論的で最も保守的なこと、つまり、最も予期しやすいプレイをするだろう。なんとかその孤独から抜け出して、すぐにでも仲間や敵と合流し、誰にでも等しく値するゲーム理論の中に戻ろうとする。
けれども逆に調子が良くて、自分自身や外の世界と上手くいっている場合、この一瞬の孤独はとてつもなく大きなアドバンテージになる。直観を自由に働かせ、君がやるべきことを、まだ誰も、君自身すら知らないうちにやることが出来るからだ。
君は君のプレイそのものになり、君自身の動きの中に消える。
それは絶対的な美の瞬間であり、サッカーというスポーツのニルヴァーナだ。
これまでのキャリアにおける美しいプレイの数々を、僕はこんな風にして実現してきた。
孤独の奥底で頭が空っぽになり、その結果心理的なプレッシャーから解放され、監督の戦術からも自由になり、理詰めの思考やあらゆるゲーム理論から解き放たれる。単にそのプレイをした、ただそれだけ。
それはあまりにも美しい瞬間で、あまりにも貴重な無に満ちていて、だからもちろん、その瞬間についてはその後全く覚えていない。
覚えているのはその直前と直後だけで、魔法の瞬間そのものは消えてしまう。なぜなら、それはとても純粋な天の恵みであり、それ自体で完結しているからだ。
その瞬間はもうそこには存在しない。いや、あるいはこう言った方がいいだろうか。
それは別の形で存在している。より高度な、ミステリアスな、不可解な、直感的な、超自然的な形で。
なんて素晴らしいんだろう。
(da "Quel momento li`" di 「10+」 Alessandro Del Piero)
深い孤独の瞬間がある。時にはほんの1秒、ある時には僅か数分の1秒ほどの瞬間だ。君は何かをやろうとしていて、けれども敵は君が何をやろうとしているのか知らない。味方も知らない。なにより君自身さえまだ知らない、そんな瞬間。
この時サッカーはもはやチームスポーツではなくなる。そこにいるのはただ一人君と、そして君のもとに近付いてくるボールだけだ。
その瞬間には君の精神状態、肉体的コンディション、そしてモチベーションが大きく影響してくる。それまで練習でやってきたこと、監督やチームメイトからの信頼を感じているか否か、プライベートは上手くいっているかなど、あらゆることが重要だ。
君は独りぼっちだ。もし心のどこかで調子が良くないと感じているとしたら、きっとその瞬間君は最も理論的で最も保守的なこと、つまり、最も予期しやすいプレイをするだろう。なんとかその孤独から抜け出して、すぐにでも仲間や敵と合流し、誰にでも等しく値するゲーム理論の中に戻ろうとする。
けれども逆に調子が良くて、自分自身や外の世界と上手くいっている場合、この一瞬の孤独はとてつもなく大きなアドバンテージになる。直観を自由に働かせ、君がやるべきことを、まだ誰も、君自身すら知らないうちにやることが出来るからだ。
君は君のプレイそのものになり、君自身の動きの中に消える。
それは絶対的な美の瞬間であり、サッカーというスポーツのニルヴァーナだ。
これまでのキャリアにおける美しいプレイの数々を、僕はこんな風にして実現してきた。
孤独の奥底で頭が空っぽになり、その結果心理的なプレッシャーから解放され、監督の戦術からも自由になり、理詰めの思考やあらゆるゲーム理論から解き放たれる。単にそのプレイをした、ただそれだけ。
それはあまりにも美しい瞬間で、あまりにも貴重な無に満ちていて、だからもちろん、その瞬間についてはその後全く覚えていない。
覚えているのはその直前と直後だけで、魔法の瞬間そのものは消えてしまう。なぜなら、それはとても純粋な天の恵みであり、それ自体で完結しているからだ。
その瞬間はもうそこには存在しない。いや、あるいはこう言った方がいいだろうか。
それは別の形で存在している。より高度な、ミステリアスな、不可解な、直感的な、超自然的な形で。
なんて素晴らしいんだろう。
(da "Quel momento li`" di 「10+」 Alessandro Del Piero)
PR
COMMENT